基本的人権は憲法で保障されているほか、国連においても 『世界人権宣言』でその擁護をうたっています。
銀行が従業員の私生活まで業務命令で関与するのは、基本的人権を侵害するものです。
◇日本国憲法
第十条【日本国民の要件】
日本国民たる要件は、法律でこれを定める。
第十一条【基本的人権の享有と性質】
国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない
永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第十二条【自由・権利の保持義務、濫用の禁止、利用の責任】
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、
これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
第十三条【個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重】
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しな
い限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第十四条【法の下の平等、貴族制度の否認、栄典の限界】
1
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的
関係において、差別されない。
2
華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3
栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受けるも
のの一代に限り、その効力を有する。
◇ 世界人権宣言
世界人権宣言は、多くの尊い人命が奪われ、悲劇と破壊をもたらした第二次世界大戦の反省から「差別を撤廃
し、人権を確立することが恒久平和に通じる。」との確信のもとに、1948年12月10日の第3回国連総会で採択
されました。
その後、1950年第5回国連総会で採択の日である12月10日を「人権デー」と定め、加盟国などに人権思想
の普及・啓発のための行事等を実施するよう呼びかけてます。
日本もこれを受け、毎年12月4日から10日までを「人権週間」として、全国的に人権意識の高揚を図るための
啓発活動が展開されています。
そして、この宣言から今年で51年、私達の日常生活を守るために、国際人権規約や人種・女子差別撤廃、子ど
もの権利等に関する条約が23種類も作成されています。
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世 界 人 権 宣 言
[1948年12月10日 第3回国際連合総会:採択]
前 文 人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由
、正義及び平和の基礎であるので、人権の無視及び軽侮が、人類の良心を踏みにじつた野蛮行為をもたらし、言論及び
信仰の自由が受けられ、恐怖及び欠乏のない世界の到来が、一般の人々の最高の願望として宣言されたので、人間が専
制と圧迫とに対する最後の手段として反逆に訴えることがないようにするためには、法の支配によつて人権を保護することが肝要
であるので、 諸国間の友好関係の発展を促進することが、肝要であるので、 国際連合の諸国民は、国際連合憲章において、
基本的人権、人間の尊厳及び価値並びに男女の同権についての信念を再確認し、かつ、一層大きな自由のうちで社会的進
歩と生活水準の向上とを促進することを決意したので、 加盟国は、国際連合と協力して、人権及び基本的自由の普遍的な
尊重及び遵守の促進を達成することを誓約したので、 これらの権利及び自由に対する共通の理解は、この誓約を完全にするた
めに最も重要であるので、 よつて、ここに、国際連合総会は、 社会の各個人及び各機関が、この世界人権宣言を常に念頭に
置きながら、加盟国自身の人民の間にも、また、加盟国の管轄下にある地域の人民の間にも、これらの権利と自由との尊重を
指導及び教育によつて促進すること並びにそれらの普遍的かつ効果的な承認と遵守とを国内的及び国際的な漸進的措置に
よつて確保することに努力するように、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として、この世界人権宣言を公布する。
第1条 すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。 人間は、理性と良心とを授け
られており、互いに同胞の精神をもつて行動しなければならない。
第2条 1 すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地
その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有する
ことができる。
2 さらに、個人の属する国又は地域が独立国であると、信託統治地域であると、非自治地域であると、又は他のなんらかの主
権制限の下にあるとを問わず、その国又は地域の政治上、管轄上又は国際上の地位に基づくいかなる差別もしてはならない。
第3条 すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する。
第4条 何人も、奴隷にされ、又は苦役に服することはない。奴隷制度及び奴隷売買は、いかなる形においても禁止する。
第5条 何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは屈辱的な取扱若しくは刑罰を受けることはない。
第6条 すべて人は、いかなる場所においても、法の下において、人として認められる権利を有する。
第7条 すべての人は、法の下において平等であり、また、いかなる差別もなしに法の平等な保護を受ける権利を有する。
すべての人は、この宣言に違反するいかなる差別に対しても、また、そのような差別をそそのかすいかなる行為に対しても、平等な
保護を受ける権利を有する。
第8条 すべて人は、憲法又は法律によつて与えられた基本的権利を侵害する行為に対し、権限を有する国内裁判所による効果
的な救済を受ける権利を有する。
第9条 何人も、ほしいままに逮捕、拘禁、又は追放されることはない。
第10条 すべて人は、自己の権利及び義務並びに自己に対する刑事責任が決定されるに当たつて、独立の公平な裁判所による
公正な公開の審理を受けることについて完全に平等の権利を有する。
第11条 1 犯罪の訴追を受けた者は、すべて、自己の弁護に必要なすべての保障を与えられた公開の裁判において法律に従つて
有罪の立証があるまでは、無罪と推定される権利を有する。
2 何人も、実行の時に国内法又は国際法により犯罪を構成しなかつた作為又は不作為のために有罪とされることはない。また、
犯罪が行われた時に適用される刑罰より重い刑罰を課せられない。
第12条 何人も、自己の私事、家族、家庭若しくは通信に対して、ほしいままに干渉され、又は名誉及び信用に対して攻撃
を受けることはない。人はすべて、このような干渉又は攻撃に対して法の保護を受ける権利を有する。
第13条 1 すべて人は、各国の境界内において自由に移転及び居住する権利を有する。
2 すべて人は、自国その他いずれの国をも立ち去り、及び自国に帰る権利を有する。
第14条 1 すべて人は、迫害を免れるため、他国に避難することを求め、かつ、避難する権利を有する。
2 この権利は、もっぱら非政治犯罪又は国際連合の目的及び原則に反する行為を原因とする訴追の場合には、援用するこ
とはできない。
第15条 1 すべて人は、国籍をもつ権利を有する。
2 何人も、ほしいままにその国籍を奪われ、又はその国籍を変更する権利を否認されることはない。
第16条 1 成年の男女は、人種、国籍又は宗教によるいかなる制限をも受けることなく、婚姻し、かつ家庭をつくる権利を有する。
成年の男女は、婚姻中及びその解消に際し、婚姻に関し平等の権利を有する。
2 婚姻は、両当事者の自由かつ完全な合意によつてのみ成立する。
3 家庭は、社会の自然かつ基礎的な集団単位であつて、社会及び国の保護を受ける権利を有する。
第17条 1 すべて人は、単独で又は他の者と共同して財産を所有する権利を有する。
2 何人も、ほしいままに自己の財産を奪われることはない。
第18条 すべて人は、思想、良心及び宗教の自由に対する権利を有する。この権利は、宗教又は信念を変更する自由並びに単
独で又は他の者と共同して、公的に又は私的に、布教、行事、礼拝及び儀式によつて宗教又は信念を表明する自由を含む。
第19条 すべて人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並び
にあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む。
第20条 1 すべての人は、平和的な集会及び結社の自由に対する権利を有する。
2 何人も、結社に属することを強制されない。
第21条 1 すべての人は、直接に又は自由に選出された代表者を通じて、自国の政治に参与する権利を有する。
2 すべて人は、自国においてひとしく公務につく権利を有する。
3 人民の意思は、統治の権力の基礎とならなければならない。この意思は、定期のかつ真正な選挙によつて表明されな
ければならない。
この選挙は、平等の普通選挙によるものでなければならず、また、秘密投票又はこれと同等の自由が保障される投票手続
によつて行われなければならない。
第22条 すべて人は、社会の一員として、社会保障を受ける権利を有し、かつ、国家的努力及び国際的協力により、また、
各国の組織及び資源に応じて、自己の尊厳と自己の人格の自由な発展とに欠くことのできない経済的、社会的及び文化
的権利を実現する権利を有する。
第23条 1 すべて人は、勤労し、職業を自由に選択し、公正かつ有利な勤労条件を確保し、及び失業に対する保護を受ける
権利を有する。
2 すべて人は、いかなる差別をも受けることなく、同等の勤労に対し、同等の報酬を受ける権利を有する。
3 勤労する者は、すべて、自己及び家族に対して人間の尊厳にふさわしい生活を保障する公正かつ有利な報酬を受け、かつ
、必要な場合には、他の社会的保護手段によつて補充を受けることができる。
4 すべて人は、自己の利益を保護するために労働組合を組織し、及びこれに加入する権利を有する。
第24条 すべて人は、労働時間の合理的な制限及び定期的な有給休暇を含む休息及び余暇をもつ権利を有する。
第25条 1 すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活
水準を保持する権利並びに失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、老齢その他不可抗力による生活不能の場合は、
保障を受ける権利を有する。
2 母と子とは、特別の保護及び援助を受ける権利を有する。すべての児童は、嫡出であると否とを問わず、同じ社会的保護を受ける。
第26条 1 すべて人は、教育を受ける権利を有する。教育は、少なくとも初等の及び基礎的の段階においては、無償でなけれ
ばならない。初等教育は、義務的でなければならない。技術教育及び職業教育は、一般に利用できるものでなければならず、
また、高等教育は、能力に応じ、すべての者にひとしく開放されていなければならない。
2 教育は、人格の完全な発展並びに人権及び基本的自由の尊重の強化を目的としなければならない。教育は、すべての国
又は人種的若しくは宗教的集団の相互間の理解、寛容及び友好関係を増進し、かつ、平和の維持のため、国際連合の活動
を促進するものでなければならない。
3 親は、子に与える教育の種類を選択する優先的権利を有する。
第27条 1 すべて人は、自由に社会の文化生活に参加し、芸術を鑑賞し、及び科学の進歩とその恩恵とに
あずかる権利を有する。
2 すべて人は、その創作した科学的、文学的又は美術的作品から生ずる精神的及び物質的利益を保護される権利を有する。
第28条 すべて人は、この宣言に掲げる権利及び自由が完全に実現される社会的及び国際的秩序に対する権利を有する。
第29条 1 すべて人は、その人格の自由かつ完全な発展がその中にあつてのみ可能である社会に対して義務を負う。
2 すべて人は、自己の権利及び自由を行使するに当たつては、他人の権利及び自由の正当な承認及び尊重を保障する
こと並びに民主的社会における道徳、公の秩序及び一般の福祉の正当な要求を満たすことを専ら目的として法律によつて
定められた制限にのみ服する。
3 これらの権利及び自由は、いかなる場合にも、国際連合の目的及び原則に反して行使してはならない。
第30条 この宣言のいかなる規定も、いずれかの国、集団又は個人に対して、この宣言に掲げる権利及び自由の破壊を目的と
する活動に従事し、又はそのような目的を有する行為を行う権利を認めるものと解釈してはならない。