改悪出向規定を考える。
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`01.4.1出向規定改悪の概要
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<人権無視のリストラ策>
■連結子会社への出向には「出向の目的」「労働条件の明示」「本人の同意 」 |
《組合の見解》 ■行員は銀行に採用されたものであり、関連会社といえども本人の同意なしの異動命令は人権無視。 ■期間は3年というが、「但し書き」があり、戻れる保証はない。 ■出向期間、銀行からは「規定の改定」を含めた通達などほとんど知らされない。もちろん研修などもない。 変化が激しい中での3年間の空白は、銀行業務に戻っても仕事が困難になる。 ■出向期間、人事考課・評価は誰がどのようにしておこなうのか? ■今回の規定改悪はリストラ策の道具とされるだけだ。 ■関連会社の人事や労働条件は銀行の及ばない(従来の銀行答弁)ところであり、同意なしの異動は問題。 |
新人事制度ー出向者に不安の声
『異動内示は事前通知なし(‘01.4出向規定改悪)〜人事面接なしで何を基準に評価されるのか?』
■4月の出向規定改悪により,関連子会社への出向は通常の人事異動の中に組み込み、本人への事前通知
ならびに本人の承諾 を不要とした。出向期間、銀行の研修には参加できず、通達も廻ってこない。出向期間3年
経過後に職場に復帰しても、仕事に対応できるのか不安でたまらない。
新人事制度では、年間4回の面接をやるといっているが、昨年度は現行の 人事面接 は一度も行われて
ないと いう報告 を受けている。
新制度を関連会社には知らせていない状況では、出向者が何を基準に評価さ れるのか、 新人事制度
導入後の身分 地位に不安を隠し切れない という声が 多くなっている。
<出向についての法律>
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■ 配転・出向についてですが、労基法は労働契約の締結に際して、賃金、労働時間等とならんで就業の場所及び従事
すべき業務に関する事項を必ず労働者に明示しなければならない旨、第15条及び同施行規則第5条で規定しています。
すなわち、配転・出向は仕事の内容、種類、場所の変更になるわけですから、それらの実施にあたっては「労働契約
の範囲内に限って認められる」ということになります。
したがって、労働者をその職種を定めて雇い入れたときは、労働契約上労働者の提供すべき労務の種類内容が
定されることになり、労働者の「合意」なくして、使用者の一方的な命令による配転・出向は無効という判例
が定着しています。 職種の特定がない場合であっても配転の実施には労働契約上の根拠が必要とされています
から、業務上の必要性及び就業規則に「配転(転勤)を命ずることがある」旨の定めがなければなりません。
しかし、こうした定めがあっても、次のような場合は「命令権の濫用」となり無効とされています。
@業務上の必要性のないもの
A合理的な理由のないもの
B労働条件が著しく低下するもの
C職種・勤務場所について合理的な予想範囲を著しく超えるもの
D技術・技能等の著しい低下となるもの
E私生活に著しい不利益を生じるもの
なお、以下のような場合は、配転命令は当然無効となります。
・労働組合の組合員や役員、その活動等を理由とする不利益配転(労組法第7条)
・労働者の国籍、思想・信条等を理由とした差別的配転(労基法第3条)
次に「出向」についてですが、出向元の従業員としての資格をもったまま、他の企業で働くことを「在籍出向」といい、
出向元との雇用契約を解消し、出向先の企業と新たな雇用契約(再就職)を結んで働くことが「移籍出向」となります。
配転や転勤が同一企業内での勤務場所や職種の変更であるのに対し、出向は「働く企業そのものが変更」となること
から、労働条件の低下はより厳しいものが予想されます。したがって、在籍出向では「配転」以上に業務上の必要性が
求められることになります。また、移籍出向は事実上解雇し、他社に再就職させることですから労働者の合意と合理的
理由が不可欠となります。
なお、一方的な配転・出向を許さないためには、労働組合の団結を強化し、組合と本人双方での会社との
事前協議や本人の同意権などを決めた労働協約を締結することも大切です。また、一人ひとりの労働者が
「納得できない配転・出向には応じない」という毅然とした決意と勇気をもつことが求められています。